ママとして家庭を守りながら、MBA(経営学修士)を目指すことは可能でしょうか?子どもが生まれる前であれば…とお考えの人も多くいらっしゃると思います。
本記事は、【前半】に実際にママになってからMBAを取得したA.T.さんにお話しをお伺いし、MBA取得に向けてどのように取り組んだのかご紹介します。【後半】ではA.T.さんから伺った、ママが抱える不安に対する具体的な解決方法などの工夫をまとめました。
ママがMBAにチャレンジする理由
ママがMBAにチャレンジする理由はさまざまです。キャリアアップを目指すため、自身のスキルを磨くため、または起業を考えているためなど、多岐にわたります。特に、ママであるからこそ身につけられるマルチタスク能力や時間管理能力は、MBAの学びと非常に相性が良いと思っています。
ママMBAホルダーに聞いてみた!ママでもMBAって取れるの?
<今回お話を聞かせてくださったA.T.さんのプロフィール>
【お名前】A.T.さん (30代)
【お仕事】製薬企業の営業(MR) 時短勤務
【ご家族】夫 長男(2歳10ヶ月) 次男(0歳3ヶ月)
MBA取得の背景を教えてください
A.T.さん:私はもともと製薬会社の営業担当(MR)として、大きな病院も担当する等、バリバリ働いていたのですが、産育休後の職場復帰後、担当病院の規模が小さくなってしまったり、働く時間も制限があったりと、仕事にやりがいを感じられなくなっていました。いわゆる、 “マミートラック”に陥ったんだと思います。
そんな状況を変えたいと考え、MBAホルダーである夫に「育休中に何か学びたいんだけど…」と相談をしました。すると夫から「オンラインMBAなら(通学不要だし)ママでもやりやすいんじゃない?」と提案されたんです。
これまではMBAという存在も雲の上の存在のようなイメージで、自分が取得することなんて1ミリも考えておりませんでしたが、マミートラックから抜け出したかったこと、夫に勧められたことをきっかけにMBA取得を決意しました。
産休や育休から復職した際に担当業務や勤務時間が限定された就労環境となり、ママのキャリアが限定されてしまうこと。トラックは周回コースを意味し、ママ(マミー)が出世コースから外れることを表す言葉
ママとしてMBAにチャレンジすることに躊躇はありましたか?
A.T.さん:はい、もちろんありました。私の周りにはママでMBAにチャレンジしている話は聞いたことがなく、「子どもが大きくなってからにしようかな…」と一瞬考えました。でも、育児の終わりは何年後かわからないし、その時のキャリアはどうなっているかもわからない。
むしろ、その時まで現状を打破できないことの方がモヤモヤしたため、子どもが小さくてもMBAにチャレンジしてみようと決意しました。MBAを修了してから気付いたのですが、なぜ勉強したいのかというモチベーションがあったからこそ、やり遂げられました。
数あるMBAの中からどのように学校を決めましたか?
A.T.さん:当時、オンラインMBAは2校ありました。MBAは決して安くなく、両校とも学費に大きな差はなかったので詳しく調べました。最終的に、100%オンラインであること、自分のペースで学習を進められること、実践的な授業プログラムがあること、の3つが決め手となりました。
まず、100%オンラインであること。他校は、通学とオンラインのハイブリッド型の学校でした。ハイブリッド型ですと、通学している人もいる中、オンラインで参加すると疎外感を感じそうだなと懸念しました。100%オンライン、つまり受講者全員がオンラインという体制であれば、受講生間も差がなくなりフェアな気がしたんです。ディスカッションもオンラインなのですが、テキストベースになります。そのため、声の大きい人に流されることなく自分の考えを整理しながらディスカッションに参加できたのもよかったです。
次に、自分のペースで学習を進められるということ。講義がオンデマンド配信である学校を選びました。忙しいママでもすき間時間を利用して学習を進めることが可能なのでありがたかったです。また、講義速度も変えられるため、理解が難しい部分は低速で、逆に得意な部分は倍速で視聴することで、自分の習熟度に合わせて進めることができて効率的でした。
最後に実践的なプログラムがあるということ。私が選んだ学校には、「もし自分が○○の経営者だったら」と仮定し、現状分析をしながら将来像を予測し、今後の具体的な打ち手を1週間で考えるというプログラムがあり、そこに惹かれました。
MBAは過去に成功した企業のケーススタディを学ぶのだと思っていたのですが、“過去に成功したからといって今成功するとは限らない、なら今成功するためにはどうしたら良いか考えましょう”という学校のスタンスに共感しました。
MBA入学まではどのように準備されましたか?
A.T.さん:受験した学校は4月入学と10月入学があり、入学したい時期の半年前くらいから願書の準備を進めました。
1週間の学習スケジュールを教えてください
A.T.さん:表を見ていただきたいのですが、起床~出勤までと、お迎え~寝かしつけは完全に育児時間と決めていました。ですので、仕事の合間や子供が寝た後のすき間時間に学習を進めていました。
休日はおでかけの道中(車内)など、子どもの相手をしない時に学習していました。子どもと遊ぶ時は勉強は一旦ストップし、学習のオンオフのメリハリをつけることを意識していました。
というのも、入学当初は夫に子守りをお願いして徹夜していたのですが、そうすると翌日の勉強がはかどらなくなり、悪循環になってしまいました。
また案外、子供と遊ぶ時間が私の心の充電になっていたことに気づき、このようなルーティンに落ち着きました。
勉強のお役立ちアイテムはありましたか?
A.Tさん.:オンラインMBAではオンデマンド講義が多いため、ワイヤレスイヤホンが大活躍でした。
通勤時間やおでかけの道中(車内)に講義を視聴することで時間の有効活用ができたり、子どもを寝かしつけて布団の中で視聴したりする時に役立ちました。うちの子は、夜中にママが起きて別室で勉強してると起きてきてしまうので、布団の中で勉強するしかなかった、という事情もありますが・・
MBA修了後の変化を教えてください
A.Tさん.:なんといっても格段に視野が広がりました。また、多様なバックグラウンドを持つMBAの仲間からもたくさんの刺激をもらい、講師陣営からの指導もあって、MBA修了後はより仕事が楽しくなりました。
MBAにチャレンジする前はママになるとコミュニティが限定されがちだなと薄々思っていたのですが、MBAを修了してもMBAの仲間とは近況報告をし合っており、MBAホルダーとの関係性はお値段以上の価値があると感じています。
経験者のノウハウを凝縮!MBA取得に向けてできること
時間の管理
多くのママが抱える最大の不安は、時間の管理です。家庭と学業のバランスを取るために、次のような方法が有効です。
【スケジュールの徹底管理】
家族のスケジュールとMBAの学業計画を統合し、無駄のないスケジュールを作成します。スケジュールアプリで家族と情報共有しておくとよりスムーズかもしれません。
【優先順位の明確化】
重要な課題や試験の前には、他の活動を減らし、学業に集中する時間を確保します。
【時短家事の活用】
洗濯乾燥機、お掃除ロボットなどを活用して家事を時短。家事代行サービスや惣菜宅配サービスを利用するのも1つです。
【未就学児の預け先の確保】
育休中のママ特有の悩みとなるのが未就学児の預け先です。一時保育やベビーシッターの利用を検討しましょう。
東京23区であれば「ちょこいく」といったLNEで一時保育の予約が可能なサービスもあります。忙しいママの味方となるのではないでしょうか。
学費の負担
MBAの学費は高額であり、家計への影響が心配です。以下の方法で学費の負担を軽減できます。
【奨学金の活用】
多くのMBAプログラムでは、国の制度である「専門実践教育訓練給付金」の受給が可能です。
専門実践教育訓練給付金は、MBAプログラムを2年間で卒業すると最大112万円の補助金が還付されるため、家計を心配するママは必見です。ただし、入学前に申請する必要があるなど、条件がありますので必ず自身で確認しましょう。
【オンラインプログラムの選択】
国内MBAの相場は150~350万円です。国立大学の通学型が最も安価ですが交通費やテキスト代が別途かかります。オンラインMBAの相場は300万円前後と決して安くはないですが、通学がない分交通費は抑えられます。
MBAを取得したからこそ実感する、MBAのメリット
キャリアアップ
MBAを取得することで、キャリアの幅が広がります。多くの企業がMBAホルダーを高く評価し、管理職やエグゼクティブポジションへの昇進が期待できます。
昇進だけでなく、最近は出産や育児等のライフスタイルの変化に応じてキャリアチェンジするママも多く、MBAを活かしたキャリアチェンジが可能となります。
ネットワーキング
MBAプログラムでは、多様なバックグラウンドを持つ学生とのネットワーキングが可能です。これにより、新しいビジネスチャンスや協力関係を築くことができます。
ママになるとコミュニティが制限されがちですが、MBAを志す仲間ができ、新しい刺激が得られ、視野も広がります。
自己成長
MBAプログラムを通じて、経営学の深い知識やスキルを身につけることができます。これは、個人の成長にも繋がり、自信を持ってキャリアを進めるための強力な武器となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ママであっても、MBAを取得することは決して不可能ではありません。実際に取得されたA.T.さんの事例等も参考に、自分に合った方法で学び続ける意志を持つことが大切です。家族のサポートや時間管理の工夫を駆使し、目標を達成するための一歩を踏み出してください。
●モチベーションが大事(なぜ勉強したいのかを明確に)
●学習のオンオフのメリハリをつける ➡子供との時間が心の充電となり、ママも頑張れる!
●時短家電や勉強お役立ちアイテムを活用 ➡オンラインMBAですき間時間に学習!
ママがMBAを取得することで得られるメリットは計り知れません。キャリアアップや自己成長、新しい人脈の構築など、多くのプラス要素があります。不安を解消し、勇気を持って良いスタートを切ってください。
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