子育てにおいて「叱ることは百害あって一利なし」と頭では理解していても、つい怒ってしまうことってありませんか?「このままの子育てで良いのだろうか?」と悩んでいる方には、『見守る子育て』を試してみる価値があります。
私は現在、6歳、3歳、0歳の息子を育てていますが、『見守る子育て』は、彼らに声掛けする際のヒントとなる貴重な体験でした。本記事では、その実体験も交えながら、『見守る子育て』の重要性と実践のポイントについてご紹介します。
見守る子育てとは?
見守る子育ての定義
見守る子育てとはどんな育児でしょうか?まずはChatGPTに聞いてみました。
『見守る子育て』とは、子どもが自分の力で成長し、自立する過程を尊重しながら、親が適切な距離を保ちつつサポートする育児のスタイルを指します。過度な介入を避け、子どもが自分で考え、問題を解決する力を養うことを重視します。ただし、必要な時には適切なアドバイスやサポートを提供し、子どもが安心して成長できる環境を整えることも重要です。
この方法は、子どもの自主性や自己肯定感を育み、長期的に有益であるとされています。また、親自身も子どもの成長を見守る過程で自己成長を促される面があります。
ChatGTPより
見守る子育てが注目される背景
現代社会は急速に変化しており、将来の予測が困難な「VUCA(ブーカ)時代」に突入しています。VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉です。このような時代において、自分で考え、行動できる自主性が求められており、これを育むための方法の一つとして『見守る子育て』が注目されています。
また、2020年教育改革により、「アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)」が取り入れられるようになりました。これに伴い、子どもの自主性を育むことがさらに重要視されています。
見守る≠放任
「放任主義」と「見守る子育て」は一見似ているように見えますが、その意味は大きく異なります。放任は、物事に対して何もせず、成り行きに任せることを指しますが、『見守る子育て』では、子どもの成長を見守りつつ、適切なサポートを行います。この違いを理解し、言葉を正しく使うことが大切です。
見守る子育てのメリット*
子どもの自主性を育む
自主性を持たないまま成長すると、誰かに指示されなければ動けない、あるいは自分で判断できない大人になってしまう可能性があります。しかし、自主性を身につけた子どもは、困難な状況でも自分で解決策を見つけ、乗り越える力を持つようになります。自主性は一朝一夕に身につくものではなく、子どもの頃からの土台作りが必要です。
自信と自己肯定感の向上
自己肯定感は、自らの価値や存在意義を肯定できる能力です。自己肯定感が高い子どもは、自分の力を信じて挑戦し、他者との信頼関係を築くことができます。この自信と自己肯定感は、自分を認めてもらう経験から育まれます。その結果、他者を認め、協力し合う行動に繋がり、他者との共生が可能となります。
親子の信頼関係の構築
親子の信頼関係が欠如していると、子どもは目立つ行動を取るようになり、叱らざるを得ない場面が増えてしまいます。叱ることが多くなると、信頼関係が薄れ、負のループに陥ることも。人は信頼している人の話に耳を傾けます。成長が未熟な子どもなら尚更です。
*参考:小川 大介『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』, KADOKAWA, 2019年5月
見守る子育ての具体的な方法*
では、実際に「見守る」子育てをするにはどのようにすればよいでしょうか。小川 大介さんの『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』を参考に自身の経験も交えてご紹介します。
日常生活での見守りの実践方法
◇与えすぎず、子どもに選択の経験を積ませる
教育改革でも、自主性を育む教育が推進されています。親がすべてを与えるのではなく、子どもに選択の経験を積ませることで、判断力が養われます。たとえば、習い事の選択において、親の希望を押し付けるのではなく、子どもが興味を示したものを始めることで、自分で選んだという自信が芽生えます。
◇否定せず、一旦「そうだね」と受け止める
子どもが出した答えを否定せず、まずは「そうだね」と受け止めましょう。自分を認めてもらえると、他者を認める力が育ちます。逆に否定されると、「自分はダメなんだ」と感じ、自己否定に繋がることがあります。
◇当たり前をほめる
当たり前のことでも、子どもをほめることが大切です。たとえば、3歳頃になると「自分でやりたい」と言うようになります。その時、たとえTシャツを前後逆に着ていても、自分で着られたことをほめましょう。
親が意識するべきポイント
◆アイメッセージの活用
自分の気持ちを伝えたい時は、「ママは○○だと思ったよ」とアイメッセージを使いましょう。これにより、子どもは親の意見を受け入れやすくなります。自己を認めてもらったという感覚が、信頼関係の構築に繋がります。
◆子どもの行動を観察し、適切なタイミングでサポート
見守る子育てにおいて、親は子どもの遊びや興味を観察し、適切なサポートを行うことが重要です。このサポートにより、子どもの得意分野を伸ばすことに繋がります。
たとえば、読み書き計算に興味を示さない子どもでも、ポケモンカードゲームには興味を持つかもしれません。その場合、ゲームを通じて読み書きや計算のスキルを自然に習得することができます。
◆親も失敗して当たり前!完璧を求めない
子育てにおいて、結果に捉われすぎず、当たり前のことを見つけてほめるようにしましょう。また、親自身も完璧を求めず、失敗しても次に活かす姿勢が大切です。『見守る子育て』に慣れるまでは多少の時間を要することを頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。
叱ってしまったら?
叱ってしまった場合は、パパとママの役割を分け、子どもに逃げ場を作ることが重要です。たとえば、ママが叱ってしまったら、パパは受け入れる側になりましょう。2人ともが叱ってしまうと自己否定に繋がってしまいます。
また、ご自身しかいないなどの場合には、叱った後、素直に「ごめんね」と謝ることで、信頼関係は修復することができます。
*参考:小川 大介『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』, KADOKAWA, 2019年5月
見守る子育ての体験談
私の子育て経験から、特に印象的だったエピソードをいくつかご紹介します。
トイレトレーニングの失敗
次男のトイレトレーニングでは、初めは「なんでできないのよ⁉」と叱ってばかりでうまくいきませんでした。しかし、実母の助けで心の余裕ができ、「ママ、トイレに行きたいんだけど一緒に行かない?」と優しく声をかけるようにしたところ、次第にトイレに行くようになりました。失敗してもポジティブな声掛けに切り替えることで、次第に成功率が上がりました。
習い事に行きたくないと泣く長男
見守る子育ての一環として、我が家では習い事を始める際、子どもが自分で選ぶことを尊重しています。長男はサッカーに興味を示したため、サッカー教室に通っていました。しかし、ある日突然、「サッカー行きたくない」と言い出しました。夫は「サボり癖がついちゃうから、行こう!行ったら楽しいかもよ!」と励まして連れて行こうとしました。
しかし、長男の目には涙が浮かんでいました。そこで、私は「そうなんだ。行きたくない時もあるよね。」と声をかけました。すると、先週の練習が難しかったから行きたくないと、彼の気持ちを聞くことができました。話をした後、長男は翌週からまたサッカー教室に通うようになりました。
園生活での『見守る子育て』の一場面
長男が年中の頃、お友達と遊ぶ機会が増えたと同時に、「友達に○○されて嫌だった」と自分の気持ちを話すようになりました。どのように対応すれば良いか困った私は、保育園の担任の先生に相談しました。
すると、先生は『見守る子育て』の方針に基づき、「そうだったんだ。○○が嫌だったんだね。」と、まず息子の気持ちを認めてくれました。その上で、相手の子に話してみるよう提案してくれました。息子は、自分の気持ちを認めてもらったことで安心し、相手の気持ちも受け入れることができるようになっていました。
『見守る子育て』体験から得られたこと
これらの経験を通じて、『見守る子育て』が子どもへの声掛けのヒントとなっていることを肌で感じています。また、私自身も『見守る子育て』を知ってから、声掛けの引き出しが増え、心に余裕ができました。
子育てはママだけじゃない!パパや先生とも共有
子育てはママだけの仕事ではありません。パパや親戚、先生など、関わる人全てが子どもの成長に影響を与えます。そのため、パパと育児に対する価値観を共有したり、先生がどのように声掛けしているかを確認したりすることが大切です。
さらに、普段の園生活だけでなく、シッターさんや一時保育の場でも、子どもがいつもと違う視点で見られているかもしれません。
まとめ
「あぁこれやってしまってるわ・・」や、「これならできそう!」など、様々な気付きがありましたでしょうか?子育ては変化球の連続で、解決するには時間を要するものもあるかと思いますが、本記事が子育てのヒントになれば嬉しいです。
●親と子の信頼関係を深め、自主性や自己肯定感を育む方法の1つである
●親が見守りながらも適切なサポートを行うことで、子どもは自ら考え、行動できる力を身につけることができる
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